序章「宮崎」は謎だらけである。数年前のことだが、宮崎に住んでいながら、なぜこうも自分の住んでいる土地のことを知らないんだろう?と無性に情けなく&恥ずかしくなってしまった出来事があった。その出来事とは…友人の紹介でアメリカの子供たちをホスト・ファミリーとして受け入れる機会を得た時のことである。 宮崎の素晴しさを教えてあげようと、宮崎の観光地めぐりをしている途中、その子供から「宮崎」についてのさまざまな質問を受けたが「宮崎」のことについて何にも知らないのである(私自信が)、30数年この地で生活を続けているにもかかわらず、どこに何があるのかは、だいたい判ってはいても「いつごろ・何のために・それ」が出来たのか?ほとんど答えることができずに困ってしまった。改めて自分の住む土地の知識の無いことに愕然とさせられてしまった。その後も、お寺や神社など日本の象徴的なところを連れてまわったが…何を聞かれるのか?ドキドキしてしまい、「コノ・ヒト・ホントウ・ニ・ココ(宮崎)・ノ・ヒト?」とその子のブルーの瞳は言ってるように思えた。 …どうやら、私は宮崎のことのみならず日本人としての知識も欠落しているようである。従って、物理的にみればに日本人であり・宮崎人であったわけだが、自分のいる空間がどのようなところであるのかを何もに知らない私の場合、たとえ日本に、宮崎に住んではいても、本当の意味でいえば日本人でもなく宮崎人でもない"ただの在住者"であって。「日本人」でもなければ「宮崎人」でも無かったようである…。 …それから数年経った今。私にとって、この「宮崎」という土地は依然として謎の土地のまま…。なんとかして「宮崎」の住人らしいことをしなくては…。 それから…わたしの勤める会社の名刺には" Mの国「宮崎」"の文字が刷り込まれている。宮崎市側より斡旋(?)されている名刺台紙である。県外へ出向いてこの名刺を差し出すと決まって「"Mの国"って何ですか?」と尋ねられる。「解りません」と言うわけにもいかず、おそらく「宮崎(MIYAZAKI)」の頭文字でしょうね…と答えを返す。そもそも、Mの国の" M "って何なんだろう…? …そうして、私の、Mの国「宮崎」の謎解きの旅が始まった。 |